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OKRを導入して半年。多くの成功と少しの失敗から学んだこと。

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2019.01.30 Wed

こんにちは、グレート・ビーンズ代表の井上です。
グレート・ビーンズでは、2018年の7月から「OKR(Objectives and Key Results)」という制度を取り入れています。
2018年12月までを終えて、半年間OKRを導入してみた結果、色々な学びがあったので以下にまとめてみました。

目次

1:導入前の課題
2:導入の経緯
3:OKRとは?
4:導入前の不安
5:OKR会議
6:1期目(2018年7月〜9月)
7:2期目(2018年10月〜12月)
8:現在(3期目)
9:アウトカム(成果)

1:導入前の課題

グレート・ビーンズは元々デザイン会社からスタートして、SEO、SEM、戦略立案、コンテンツ制作など、Webマーケティングをワンストップでクライアント企業様へ提供できるまでに成長してきました。

クライアント様案件(受託案件)は常時10本程度走っていますが、2016年からは、これと並行して3つのサービス開発を並行して進めています。

かなり少人数のチームでこのチャレンジを進めているため、各メンバーの仕事量はかなりの量に……。

そういった状況の中、
・誰が何をやっているのかが、各メンバーで把握できない
・自分にアサインされた仕事の優先順位が判断できない
・各サービスに対するモチベーションに個人差がある
といった課題を感じていました。

2:導入の経緯

少しさかのぼって、2016年の夏ぐらいにメルカリの小泉さんの話を聞く機会があり、会話の中で自然に「OKRで◯◯……」と話されていました。
が、その時はまだOKRを知らなかったので、すぐに詳しく調べてみました。

Googleなども取り入れている制度で面白そうだったので、導入を検討してみましたが、最終的にはうちにはまだ早いかなー? と思い、いったん導入を見送りました。

2018年になって、「OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」という本を知人に教えてもらった際に、「前半は架空のスタートアップがOKRを導入する小説ですよ! OKRはスタートアップこそ導入すべしって本です」と教えてもらいました。

早速読んでみると、確かにそうだったので、2ヶ月後(2018年7月)から自社で導入してみることにしました。

ちなみに、僕は「とりあえずやってみて、ダメならやりながら調整しよう!」という考え方です。
グレート・ビーンズのメンバーは、そんな僕の色々な新たな取り組みを、全く抵抗なく前向きにどんどん試してくれるので、こういうチャレンジがすごくしやすい。
これは、グレート・ビーンズの大きな強みだなーと感じるとともに、チームが大きくなっても失いたくないカルチャーです。

3:OKRとは?

※OKRについて知ってる方は、以下の「3」を読み飛ばしてもらってもOKです!
知らない方は、前述した本などを読んでもらったほうが正確ですが、以下に、エッセンスだけ紹介します。

①「O」と「KR」を3ヶ月ごとに定めて、その3ヶ月間は、O+KRの達成を目指して、頑張る!

②「O」は、携わるメンバー全員が「それを思い出せば、毎日ワクワクしながら目覚められる」ような、テンションが上がる目標のこと。数字を入れない「定性的な目標」を定める。
例えば、『このアプリを使った人を、みんな笑顔にする!』とか。

③「KR」は、↑の「O」を「どうなったら達成できる?」を数字で測れるような「定量的な目標」を3つ定める。
例えば、『アプリを使った人のNPS+0以上』とか。

④「KR」は「達成できるかできないか、半々ぐらいのレベル感」に設定する。
最初はすべてのKRがハードル「5/10」となり、達成できそうなら数が下がる(達成できたら「0/10」)。
達成が難しくなったら数が上がる(達成不可なら「10/10」)。

⑤OKRを「達成できたかどうか」の結果を個人の評価に使わない!!!

Googleによる解説もあります。
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/set-goals-with-okrs/steps/introduction/

チームがチャレンジングな目標を目指せるために

①〜④は知識として理解すればだいたいOKだと思いますが、個人的に重要だと思っているのは、⑤です
(「!」を3つもつけました!笑)

日本企業でよく実施されている「MBO(Management By Objective)」という手法も、元々は評価システムではないはずですが、日本ではこれを従業員の評価に使っているところが多いと聞きます。

OKRにしろMBOにしろ、個人で目標を立てる制度を評価システムとして使用することの最大のデメリットは、「個人がチャレンジングな目標を設定しなくなること」です。
(「達成容易な目標を立てる部下がいたら、目標を上げさせますよ」となると、「自発的ではない目標に意味があるのか?」という論点になるし……)

OKRを導入する目的は、チャレンジングな目標を立てて、そこに向かってチーム一丸となって駆け上がっていくための「モチベーション」と「フォーカス」にあると思っています。
(グレート・ビーンズでOKRを導入する目的は、明確にこの2つと定めました)

⑤(達成と評価を結び付けない)ができなければ、④(KRは達成できるかどうかのレベル感に設定する)もかなり難しいでしょう。
ですので、評価制度は、OKR(やMBO)とは、全く別物として用意する必要があるのではないかと考えています。

4:導入前の不安

普通のスタートアップであれば、1社=1サービスの開発をすることがほとんどだと思うので、会社全体のOKRも1つで良いのですが、グレート・ビーンズでは前述の通り、
・受託案件(Webマーケ・制作案件/月に2〜3本程度のプロジェクトがスタートし、常時10本前後が走っている)
・サービス3つ(Color Inside Yourself(CIY)2Line2sumabi)を並行して開発
と、やってることがメッチャ多いのです。
(絞れよ! って話だが、色々やってるのが楽しい!)

会社としてのOKRを1つだけ作るのか、サービスごとにOKRを定めるのか?
悩んだ結果、サービスごとにOKRを定める(3つのOKR)ということで、試してみることにしました。

5:OKR会議

2018年7月4日に、全メンバーで、「OKR会議」を実施しました。
この場(4時間程度)で、一気に3つのO+KRを決めます。

事前(1週間ぐらい前)に、OKRの説明資料を社内で共有し、各サービスの「O(胸躍る目標)」を各々考えてもらう宿題を出しておきました。
以下、資料からの抜粋です。

「OKRは、経営戦略達成のために導入するものだから『トップダウンで導入して、メンバーはそれを達成すべし!』」という記事もいくつか見ましたが、前述の通りOKR導入の目的は『モチベーション&フォーカス』なので、メンバーのモチベーションを重視して、ボトムアップでアイデアを出してもらう方式を取りました。

サービスチームごとに別れて、全員が納得できる「O(定性目標)」と、それが達成できたと言える「KR(3つの定量目標)」を考えて、チームごとに発表。
経営陣が、経営戦略との整合性を指摘しながら、修正していき、チームごとのOKRが決定しました。

ホワイトボードを4分割して、本で紹介されていた「OKR(右上)」「とは言え、大事(右下)」「今週やること(左上)」「ここ1ヶ月で必要なこと(左下)」を記入完了!
こうして、OKR最初の3ヶ月(1期目)がスタートしました。

6:1期目(2018年7月−9月)

良かったこと(Good)

①各サービスで何をいつまでにやるべきかが明確になり、各メンバーが優先順位をつけることができるようになった
(目的の1つ「フォーカス」は達成できた!)
②毎週月曜日に「チェックイン」という進捗確認MTGを行い、サービス開発が進んでいることが、全員で共有できるようになった
(どのサービスがどこまで進んでいるのかを、僕以外も毎週確認できるようになった!)
③3ヶ月で達成すべき3つのKRが定まったので、それを達成するためにチームの団結力がアップ!
④おまけとして、社外の人に「OKR導入してみました」というと、福岡ではまだ珍しいらしく、グレート・ビーンズの取り組みに興味を持っていただく方がかなり多かった

1期目の課題(Chance)

①OKR3つは、やはり多い。チーム分けしているとは言え、重複しているメンバーもおり、全体でKR9つを追うのは厳しかった
②月曜日のチェックインと対になる、金曜日の「Winセッション」というイベントを導入
「今週はこれを達成しました!」イェーイ! パチパチパチ的な雰囲気を推奨されているが、この空気感がGBにはあまりフィットしない気が……
OKR導入前からやっていた「YKD」という、その週のGoodとChanceを全員で共有するイベントに戻した
③KRがほぼ10/10(ほぼ達成不可)となってしまい、残り1ヶ月ぐらいで達成不可が濃厚になってくると、メンバーのテンションが下がってきた
(目的の1つ「モチベーション」が下がってしまうことに……)

7:2期目(2018年10月−12月)

工夫したこと

①サービスをCIYと2Line2の2つに絞って、それぞれのOKRも設定
②サービスごとのOKRと別に、個人OKRを設定
③サービスに関わるメンバーを重複しないように調整して、1人が1つのサービスOKRと個人OKRを追えば良い仕組みに変更
④「Winセッション」はやめて「YKD(毎週GoodとChanceを全員で共有)」に変更
⑤今週やるべきことを「Must」「Should」としていたが、モチベーションが下がるかな? と思い、「コンプリート」「チャレンジ」に変更
(前述の本では「P1」「P2」となっている)

良かったこと(Good)

①OKR会議では引き続きチームメンバーで「OKR」を決めてもらったが、1回目のOKR会議に比べて、さらに意欲的な発言が飛び交った!
自分たちで決めた「O」に対するモチベーションが上がっている印象
②サービスOKRに加えて、個人OKRを定めたことで、チームの成長と各メンバーの成長がはっきり見えるようになった
③CIYは9月にローンチ、2Lne2は11月にローンチと、いずれも年内ローンチの目標を達成!
④サービス(=プロダクト)を磨くために、高いモチベーションとデータドリブンなアプローチ(KRが完全に定量目標なので、おのずとそうなる)ができてきた

2期目の課題(Chance)

①1期目と同じく、KR目標が意欲的すぎるのか、10/10(ほぼ達成不可)に……
(ただし、意欲的な目標を立てることは、とても良いこと!!)
「KRを達成すること」が目的ではなく、高いモチベーション&フォーカスを持った「プロセス」が大事だよ、と何度も説明したので、1期目ほどのモチベーションダウンは無かったと思う

8:現在(3期目スタート)

2019年1月−3月で3期目のOKRがスタートしました。
2期目までの振り返りも活かした3回目のOKR会議は、僕(経営者)がほとんど発言しなくても、各チームで意欲的なOKRを定めて走り出してくれています。

何度も出てくる前述の本には、『導入した企業の大半が、最初は失敗するので、OKRが定着せずになくなってしまう企業も多い』と書かれていましたが、グレート・ビーンズにおいては導入して大成功だったと思います。
上にあげたような、小さな失敗はいくつもありましたが、チューニング&カスタマイズしながら、「GB風OKR」が段々とできつつあります。

今では、「OKRが無かったらカオスだなー」と、導入前の状況を思い出して、ゾッとするぐらい、機能していると感じます。
当初の目的だった「モチベーション」&「フォーカス」は完全に達成できました!

9:アウトカム(成果)

2Line2
11月にローンチしましたが、思ってたより反響が少ない状況。
が、大事なのは「うまくいかないときに、要因把握と適切な打ち手を「定性&定量」の両面から検討して、改善し続けること」。
OKRによって、3ヶ月間の定性・定量目標がはっきりしているので、そこに向けてグロースハックを繰り返しています。
コラムやセミナー開催など、コンテンツがかなり充実してきたので、少しずつ成功のイメージが見えてきました!!

CIY
9月のローンチ直後にバズって、すぐに診断者数4万人突破も、2週間ほどで収束してそこから年末までは伸び悩み……。
その間に、グロースハックをしまくって、流入から診断完了までのコンバージョン率改善の打ち手を実装。
1月下旬からはキャンペーンを行うなどプロモーションにも力をいれようとしていた矢先、年明けすぐからSNSで人気に火がつき、1/28時点で診断者数が35万人を突破!
2019年のアクションが楽しみすぎるサービスになってきました!!

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OKR以外のグレート・ビーンズの取り組みは、こちらの記事でも紹介しています。

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